大震災の教訓を生かして確かな備えを
平成23年3月の東日本大震災は、国内観測史上最大規模の巨大地震に大きな津波と原発事故が重なった複合型の災害で、東北地方を中心に広い地域で過去に類をみない甚大な被害が発生しました。自然災害はいつどのように起きるか分かりません。西日本、特に関西においては平成7年に阪神淡路大震災を経験しましたが、近い将来、東海・東南海・南海地震の発生が懸念されています。
災害から身を守るためには日頃の備えが必要です。大震災の教訓を生かして一人ひとりの防災意識を高めると共に、「ご家庭での備え」「管理組合としての備え」を今一度ご確認ください。
大規模な地震への備えは、発生時と被災後を想定して準備をすることが大切です。どのような問題が実際に起きたのかを、阪神淡路大震災・新潟県中越沖地震の事例とあわせてご紹介しましょう。
[発生時と直後]に多かったのは、家具の転倒やガラスなどの飛散による怪我・ガスコンロや電化製品からの出火による火災・玄関扉の変形による脱出困難・エレベータ停止による避難困難(特に高層階)・固定電話や携帯電話の不通による連絡不能等です。
[被災後]は、停電によりエレベータが停止し、食料や水の調達まですべて階段を利用しなければならず、夜は暗闇となったこと。また水道・ガスが停止した状況では調理や洗濯、入浴はできませんし、中でも一番困った問題としてトイレが使えなかったことがあげられています。
ちなみに阪神淡路大震災でライフラインの復旧に要した日数は、神戸市の場合、電気[7日間]・ガス[85日間]・水道[91日間]・下水道[135日間]で、周辺の被災地でもほぼ同じ順で復旧しました。過去の震災においても電気の復旧が最も早いのですが、東日本大震災では復旧後も計画停電による日常生活への影響がありました。また上下水道の復旧の長期化は衛生面での課題が大きく、感染症や不快感による精神的疲労の蓄積が心配されます。地震発生時は身の安全を第一に、被災後はライフライン復旧までの生活を考えた最低限の備えは不可欠です。
では、具体的にどのようなものを災害備蓄用品として備えておけば良いのか考えてみたいと思います。
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